天皇杯全日本サッカー選手権大会 4回戦 セレッソ大阪 v.s. 清水エスパルス

Jリーグにはクラブ同士の「相性」とでも言うべき傾向がある。それがクローズアップされたのは、セレッソ大阪が初昇格した年、J1での鹿島アントラーズ初対戦前に、西澤明訓選手がインタビューで「俺らは鹿島アントラーズに苦手意識はない」と発言した時からである。そして実際、以降数年セレッソアントラーズに勝ち越した。
清水エスパルスも同様に、アントラーズに相性が良い。ただし、今年のJリーグカップ(ナビスコカップ)の決勝では、清水エスパルスが惜しくも鹿島アントラーズに敗れて準優勝となった。
清水エスパルス天皇杯の決勝戦の常連であるが、準優勝が多いシルバーコレクターである。今年のJリーグカップで決勝まで進出したことから、この天皇杯でも準優勝の有力候補に挙げられている。
相性の話に戻ると、清水エスパルス長居陸上競技場開催のセレッソ戦では非常に成績が悪い。直近で2連敗している。

セレッソレヴィー・クルピ監督は今年の契約は12月6日までだったため、既に帰国しており、セレッソS級コーチライセンスを持たない小菊昭雄コーチが指揮を採る。
しかも、決定力不足だったFWケンペスはシーズン中に契約の相互打ち切り、MFヘベルチJリーグ終戦後に契約を打ち切っている。
いや、そこまでならまだ理解可能であるのだが、来季まで契約の残っているブラジル人MFシンプリシオも怪我でもないのに帰国した。
どころか、正GKの韓国人選手キム・ジンヒョンまで帰国。なので、セレッソはスタメンは全員日本人選手である。ただし、一応、ベンチには北朝鮮代表歴のあるキムソンギが居る。
セレッソのスタメンは、GKが松井謙弥、キャプテンの藤本康太は怪我で離脱し、今シーズン前にコンサドーレ札幌から強奪した山下達也センターバックに入った。Jリーグ終戦に劇的なロスタイム同点弾を奪った横山知伸が、ここ数試合スタメンから外れていた扇原貴宏とダブルボランチを組む。ロンドンオリンピックボランチを務めた山口螢は今日は左サイドハーフに入る。右サイドハーフには清水エスパルスから期限付き移籍中の枝村匠馬が入った。そして、セレッソで今シーズン最多得点の柿谷曜一朗は怪我で離脱し、2トップにまだユースから昇格したばかりの南野拓実Jリーグ終戦に引き続いて先発。南野はJ最終戦で1アシストの活躍だった。

清水エスパルスは、既にドイツ・ブンデスリーガデュッセルドルフに移籍が決まっている大前元紀が3トップの右で先発出場している。マッチアップするセレッソの左サイドバック丸橋祐介は試合開始から攻撃参加のために大前のマークを捨ててオーバーラップするため、試合序盤は大前に何度かチャンスがあったが、大前はチャンスを活かせなかった。

試合は、お互いパスは回るものの、チャンスを演出する回数は少ないという試合展開。
前半23分、扇原が高い位置でボールを奪って南野へパス、南野がカーブをかけたシュートを決めて、セレッソが先制。南野はプロ初ゴール。
結局、前半は 1 - 0 でセレッソのリードで折り返した。
セレッソがシュート5本に対し、エスパルスは3本しか無く、エスパルスは、セレッソのミスからしかシュートを打てなかった。

アフシン・ゴトビ監督はハーフタイム中に選手に対して、前半は選手同士の距離間が開いていたのでパスが繋がりにくかったため、もう少し選手同士で近づくように指示したようだ。
エスパルスの選手はゴトビ監督から激を受けたのか、後半開始から果敢に攻めこむが、後半8分、エスパルスコーナーキックのカウンターから酒本憲幸からのアーリークロスに、ニアへ走り込んだ山口蛍がGKの前で合わせてゴールを奪い、セレッソがリードを2点に広げた。
ゴトビ監督はこの失点を受けて2人同時に交代。小林大悟伊藤翔を下げて、石毛秀樹八反田康平を投入。しかし、これでエスパルスの中盤の守備が効かなくなり完全にセレッソのペースに。交代後シュート無しで迎えた後半32分にゴトビ監督は3人目の交代としてDF平岡をさげて、さらにFWのキム・ヒョンソンを投入し、アンカーに入っていた村松大輔がディフェンスラインにポジションを移した。
この交代でエスパルスの中盤の守備が一層薄くなり、後半38分、セレッソが相手ゴール前でボールを回し、最後は杉本健勇がシュートを決めて、3 - 0となり試合を決定付けた。
ロスタイムには杉本に代わって入った村田和哉がゴールを挙げ、セレッソが 4 - 0 と大勝した。

エスパルスは後半はシュート1本だけ、しかも選手交代後はシュート無しで、攻撃の組み立てが全く出来なかった。