天皇杯全日本サッカー選手権大会 4回戦 鹿島アントラーズ v.s. 京都サンガ

鹿島アントラーズは前年の優勝チームで、一方の京都サンガは今年はJ2で中位で終わっているので、ワンサイドゲームになると思っていた。
しかし、試合はお互いが攻め合う、いわゆるオープンな試合になった。チャンスの数は、ほぼ互角だった。
アントラーズオズワルド・オリヴェイラ監督は、ブラジルのクラブからのオファーを受けて、天皇杯終了後に辞任することを表明している。オリヴェイラ監督が次に赴任するクラブは、既に田中マルクス闘莉王の獲得に動いており、オリヴェイラ監督がこの試合に100%集中出来ているとは思えない。監督から見捨てられたという思いを抱く選手が居てもおかしくない。「チカラをひとつに」という状況ではないだろう。

サンガのスタメンを見て、中村充孝が中盤の底に入っていたのに驚いた。中村充孝ってFWの選手じゃなかったっけ?と思っていたら、中村充孝アントラーズデフェンスの裏に飛び出してスルーパスを受けて、GKと1対1になったが、これは曽ヶ端準に止められた。
サンガはいわゆるワーワーサッカーというヤツなのか、守備では中盤で相手ボールにプレスを掛けるのは分かるのだが、攻撃でも密集を作って、ショートパスを繋ぎ、相手も密集して来たところで、空いたスペースにミドルレンジのパスを出す。
大木武監督が日本代表のコーチ時代に岡田武史監督が言っていた「接近、展開、連続」って、こういうことだったのかも。
アントラーズも前半から、ボランチ柴崎岳がゴール前に抜け出して来る場面もあった。
前半はスコアレスで折り返したのだが、サンガからすると、手応えのある前半だったのではないか。

後半立ち上がり、アントラーズの選手間で、パスの出し手と受け手の意図が合わず、結果的にサンガがペースをつかんで攻勢になった。
後半13分、チョン・ウヨンからのスルーパス宮吉拓実がフリーで抜け出してゴールを決め、サンガが先制。
こうなると、アントラーズは得点を奪いにいかなければならないのだが、攻撃の切り札的な選手がベンチに控えていない。オリヴェイラ監督は本山雅志を下げて小笠原満男を投入。この交代はちょっと意外だった。両選手が120分間はプレー出来ないコンディションだったのだろうか。
サンガは、このリードを守りきるという試合運びはせず、前半と変わらないようなプレーを続けた。
後半37分、大木監督は足がつった宮吉を下げ、前線でボールキープが出来る駒井善成を投入。
後半ロスタイム、岩政大樹が前線に上がってパワープレイを試みるも、岩政がヘディングで競って落としたセカンドボールをアントラーズの他の選手が狙っておらず、シュートに結びつけられないまま試合終了。

アントラーズの選手間でモチベーションにばらつきがあって、自滅したように見えた。しかし、サンガの選手も勝利に値するプレーをしたと思う。